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逆転裁判6:「時を越える逆転」感想 5の粗さが再び…

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逆転裁判6』のDLC「時を越える逆転」、クリアしました。

まずは某ランドストマガジンが酷かったので、
無料でちゃんと遊べるDLCってだけでかなり嬉しいです。
話もしっかり作られており、相変わらずボリュームがあります。
個人的には満足でしたが、そこで感想です。

キャラゲーとは言え、キャラの話をするとキリがないので、
最近の逆転裁判にありがちな「悪い癖」を踏まえつつ書いていきたいと思います。
法廷・1日目序盤のネタバレを含みます。

まず、何もかもクドいです。
特に新キャラの、長ったらしいモーション。
これが1~2回ぐらいなら、ヨシとしましょう。
しかし、ある証拠品をつきつけなければ話が進まない状況において、
何度も紙ヒコーキを投げつけられる、これは明らかにオカシイのです。

クドいのは、モーションだけではありません。
法廷・1日目の開廷時、久しぶりにナルホド、マヨイ、ミツルギが揃うので、
サイバンチョも同窓会気分で「一杯やりませんか?」と冗談の交った提案をします。
ここで「それはさておき…」と軽く済ませ、本題に移るのだと思っていたら、
ナルホドたちが「真宵ちゃんの帰国祝いにどう?」や「誘ってもいいぞ」などと切り返し、
裁判の流れを無視した、非常にテンポの悪い馴れ合いが始まってしまいます。
5-1開廷時の、ココネとアウチの冗長なやり取りを彷彿とさせます。
こうしたキレの悪さは本編でも目立ちますが、とりわけこのシーンはグダグダです。

確かに、ハードが3DSに変わったことで、表現の幅が広がりました。
テキスト面の制約も緩和され、昔のようにセリフを削る必要がなくなりました。
(大逆転-1はグダグダですが、構想ではあれの倍以上あったそうなのでゾッとします)
しかし、まずはプレイヤーがストレスのたまらないゲームデザインを施して欲しいです。

次に、序盤の進行で、気になったことを1つ挙げます。
法廷・1日目の茜の尋問中、死亡推定時刻は間違えようがないという証言で、
「証人は見落としをしている」とナルホドが得意げに主張する場面があります。
そこでドライアイスをつきつけ、「死体を冷やした」と主張すると先に進みます。
確かに温度で死亡時刻をごまかすのは、ミステリの常套手段です。
でもそれは推測であって、実際に死体を冷やしたかどうかは可能性に過ぎません。
本来なら「死亡時刻をずらす方法があるかな?」と、ヒントとして提示するべき場面です。
この証言を「見落としをしている」とするには、あまりにも飛躍しすぎです。
例えば解剖書に載っているはずのことでムジュンしているなら、それは「見落とし」です。
しかしシナリオ上の解答を前提として、それを「当たり前だろ」な体でヒントにしている。
不自然な尋問であると共に、5の惨状を思い出してしまいました。

検事スタッフの作品と言うか、最近の逆転シリーズは「劇場版」志向になっていて、
1つの大きな事件を主軸とし、黒幕を暴いて倒す面白さに重きをおいています。
話全体として見れば非常に良くできていますが、個々の話づくりでは無茶をしています。
無茶をしていると言うのはトリックの稚拙さではなく、トリックを明かすまでの過程です。

GBA3作では、真実を明らかにするスタイルをとるにあたって、極めて慎重でした。
1つの証言に証拠品やこれまでの証言の相違点を重ね、ムジュンを指摘していくことで、
ようやく新事実が浮かび上がり、ある種の爽快感が得ることができました。
(レイ逆以降に導入された群集裁判は、そのコンセプトを発展させた良システムです)
一方で検事1,2では、キャラが突然新事実を思い出して喋りだす場面が見られます。
プレイヤーが事実を確かめる前に、そのまま犯人にダメージを与えることさえあります。
これはほんの一例で、「劇場版」になってから、強引な展開が目立つことは確かです。
つまらないわけではないですが、真実を知ることに受身になるというか、
ムジュンを指摘する側から、話を見届ける側にシフトしています。

特に5ではそれが顕著で、プレイヤーが真相へと誘導されている印象さえ受けました。
裁判パートになれば、本来なら警察が調べているはずのことが検証されて(警察無能説)、
1~2回の尋問が終わると、弁護側が勝手に推理を始めて、いつの間にか解決している。
こうした裁判を「答え合わせ裁判」「逆転裁判5・解決編」など勝手に呼んでました。

「もしかしてこうなのでは?」「そうだ!実はこうだったんです!」と主張する流れは、
逆転裁判の世界においては、本来なら法廷でやる必要がありません。
真犯人の元に人を集めて、推理合戦を繰り広げればいいだけなのです。

なぜ法廷に立つのか、逆転裁判の逆転とはなんなのか?この意味の捉え方が変わっています。
プレイヤーが指摘する側から見届ける側になり、真相とか黒幕の正体で作品の評価を決める。
これが「劇場版」志向の特徴で、従来の爽快感からかけ離れている原因でもあります。

ドライアイスはマシなほうで、「またかよ…」と予定調和なネタもあり、
事件の陰にヤハリではなく、台本が隠れているような気がしてなりません。
5DLCや6でちょっとだけ改善されていたはずなのですが、
今回のDLCで、また悪い癖が目立っているのが残念でした。